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サーマルカメラと音響カメラの違い|設備点検での使い分け

サーマルカメラと音響カメラの違い|設備点検での使い分け

Writer: SensBase
SensBase
Sep 13
5 min read

非接触の設備点検では、サーマルカメラと音響イメージングカメラが候補になります。どちらも人の感覚だけでは捉えにくい現象を画像上に示しますが、測っている物理量は異なります。対象設備と故障モードを整理せずに導入すると、見つけたい異常とセンサーが合わないことがあります。

 

サーマルカメラが温度分布を音響カメラが音源分布を可視化する比較図

 

 

この記事でわかること

 

  • サーマルカメラと音響カメラが測る物理量の違い

  • それぞれが見つけやすい設備異常

  • 距離、反射、周囲環境による注意点

  • 一次スクリーニングと詳細確認の分け方

  • 自社設備でPoCを行う際の評価手順

 

測定原理の違い

サーマルカメラは、対象から届く赤外線放射を捉え、表面温度の分布として表示します。接触せずに広い範囲の温度差を見られるため、発熱・冷却・断熱状態など、温度へ現れる変化の探索に向きます。ただし表示温度は放射率、反射、距離、大気、撮影角度などの影響を受けます。

音響イメージングカメラは、複数のマイクで取得した音の到来差などから、音源の方向や分布を画像上に重ねて示します。耳では位置を特定しにくい音や、周囲の騒音に埋もれやすい特定帯域の現象を探す用途があります。代表的な対象として圧縮空気・ガスの漏れや電気設備の部分放電に関連する音響現象がありますが、検出結果だけで原因や健全性を断定するものではありません。

 

比較表

 

比較表

観点: 主な入力 / サーマルカメラ: 対象からの赤外線放射 / 音響カメラ: 対象周辺から届く音波

観点: 可視化するもの / サーマルカメラ: 表面温度の分布 / 音響カメラ: 音源の方向・強度分布

観点: 向く現象 / サーマルカメラ: 発熱、冷却、断熱、温度むら / 音響カメラ: 漏れに伴う音、放電に関連する音響現象

観点: 主な注意 / サーマルカメラ: 放射率、反射、角度、環境温度 / 音響カメラ: 反射音、遮蔽、距離、背景騒音

観点: 次の確認 / サーマルカメラ: 接触温度測定、電気・機械点検 / 音響カメラ: 漏れ箇所確認、電気設備の専門点検

同じ設備でも、異常が温度として現れるのか、音として現れるのかで適切な方法が変わります。例えば配管の漏れ探索では音響が役立つ一方、過熱箇所の探索では熱画像が直接的です。両方を使う場合も、単に二種類の画像を集めるのではなく、各方法がどの仮説を確認するのかを決めます。

 

サーマルカメラが向く点検

サーマルカメラは、設備を停止せずに温度分布を俯瞰したい場面で使われます。盤内機器、接続部、回転機械、断熱材、建物外皮、太陽光発電設備など、異常が温度差へ表れる可能性がある対象が候補です。ただし、正常でも負荷や材質によって温度差が生じます。

比較の基準を持つことが重要です。同種設備、隣接相、過去画像、負荷条件などを記録し、絶対温度だけで判断しません。光沢のある金属面では周囲の熱源が反射して見えることがあるため、撮影位置を変えてパターンが動くか確認する方法もあります。

 

音響カメラが向く点検

音響カメラは、配管・継手・バルブ周辺の漏れ候補や、電気設備周辺の音響現象を離れた位置から探索する用途があります。画像上で候補方向を絞れるため、広い工場を巡回して詳細確認箇所を選ぶスクリーニングに向きます。

壁や大型設備による遮蔽、床・天井からの反射、複数音源の重なりは結果へ影響します。候補を見つけたら距離と角度を変えて再測定し、音源表示が対象に追従するか確認します。安全距離や立入制限を守り、電気設備の診断は適切な専門担当者へ引き継ぎます。

 

【ポイント】 測定器を選ぶ基準は「新しい機器か」ではなく、想定する故障が温度・音・振動・電流など、どの物理量へ現れるかです。

 

 

使い分けを決める評価手順

1. 対象設備と見つけたい故障モードを列挙する 2. 故障時に変化すると考える物理量を整理する 3. 正常設備と既知の候補箇所で両機器の見え方を確認する 4. 距離、角度、負荷、背景環境を変えて再現性を評価する 5. 候補発見後の確認方法と担当者への引渡し形式を決める 6. 巡回時間、記録品質、教育負荷を含めて運用性を比較する

PoCでは「異常が見えた」事例だけを残さず、見えなかった条件や誤検出も記録します。ファイル名、設備ID、測定時刻、負荷状態、測定位置、環境条件を共通化すると、月次や年次の変化を追いやすくなります。

 

併用する場合の設計

二つのカメラは競合するというより、異なる現象を補完します。巡回の最初に音響カメラで漏れ候補を探し、別の設備群は熱画像で温度むらを確認するなど、設備台帳と故障モードに基づいて検査メニューを分けます。一つの異常候補に両方を向けても、必ず両方で反応するとは限りません。

記録様式は共通化できます。設備ID、撮影方向、画像、候補位置、観察事実、確信度、次の確認を残し、センサーごとの固有設定を追加します。これにより、点検担当者が「機器の画像」ではなく「保全アクション」として結果を扱えます。

 

関連機器

Sensbaseでは、研究開発・PoC・実証実験向けにHIKMICRO AI56など音響イメージングカメラ、および熱画像を扱う点検機器のレンタルをご案内しています。自社設備の故障モードと測定環境に合うか、短期間の評価で確認できます。

 

 

よくある質問

 

サーマルカメラと音響カメラはどちらを先に導入すべきですか?

対象設備の故障モードから決めます。温度変化を探すならサーマル、漏れや放電に関連する音を探すなら音響が候補です。代表設備でPoCを行うと判断しやすくなります。

 

音響カメラで部分放電を見つければ故障確定ですか?

音響表示だけで故障を確定しません。設備情報と測定条件を記録し、適切な電気設備の点検手順で確認します。

 

二つのカメラを同じ巡回で使う利点は何ですか?

温度と音という異なる現象を確認できます。ただし設備ごとに検出したい事象と判定・引渡し手順を定めることが前提です。

 

まとめ

サーマルカメラは表面温度分布、音響カメラは音源分布を可視化します。設備点検では、想定故障がどの物理量へ現れるかを考え、環境影響と誤検出を含めて評価します。候補発見後の詳細確認まで設計し、同じ条件で再測定できる記録を残すことが、導入効果を判断する鍵です。

Sensbaseでは、研究開発・PoC・実証実験向けに工業点検機器のレンタルをご案内しています。短期間の評価や導入前検証をご検討の場合は、お気軽にお問い合わせください。

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