
LiDAR SLAMとは?3Dスキャン・移動計測で使う基本と選定ポイント
- SensBase

- 14 時間前
- 読了時間: 5分
建物内部、プラント、工場、地下空間、施工現場の3D計測では、三脚を何度も移動してスキャンする方法だけでなく、歩きながら点群を取得するハンドヘルド型やモバイル型の3Dスキャナーが使われます。こうした機器の中核にある考え方のひとつがLiDAR SLAMです。
LiDAR SLAMは、LiDARで周囲の形状を測りながら、自分がどこを動いているかを同時に推定し、点群地図を作る技術です。現場計測では非常に便利ですが、環境条件や歩き方、ループの取り方、後処理によって結果が変わります。この記事では、LiDAR SLAMの基本と、レンタル評価で見るべきポイントを整理します。
この記事でわかること
LiDAR SLAMの基本的な仕組み
SLAMと通常の3Dスキャンの違い
建設DX・設備管理・現場調査での活用例
ハンドヘルド3Dスキャナー選定時の注意点
短期レンタルで検証すべき評価項目
LiDAR SLAMの基本概念
SLAMはSimultaneous Localization and Mappingの略で、日本語では「自己位置推定と地図作成の同時実行」と説明されます。ロボットや計測機器が未知の環境を移動しながら、周囲の形状を観測し、自分の移動軌跡と地図を同時に推定する考え方です。
LiDAR SLAMでは、周囲の壁、柱、床、天井、設備、構造物などをLiDARで点群として捉えます。連続するスキャン同士を照合し、どれだけ移動・回転したかを推定することで、歩行や移動に合わせて点群をつなげます。GNSSが入りにくい屋内や地下空間でも使える点が大きな特徴です。
【ポイント】 ポイント: LiDAR SLAMは「点群を取るセンサー」ではなく、「点群を使って移動軌跡も推定するシステム」です。環境の形状特徴が少ない場所では推定が難しくなることがあります。
通常の3Dスキャンとの違い
三脚型レーザースキャナーでは、固定した位置から高密度に計測し、複数のスキャン位置を後で合わせる運用が一般的です。一方、LiDAR SLAMを使うハンドヘルド型やモバイル型では、移動しながら連続的に点群を取得します。作業時間を短縮しやすく、狭い場所や複雑な動線を歩きながら記録しやすい利点があります。
比較表
観点: 計測方法 / LiDAR SLAM型: 移動しながら連続取得 / 三脚型スキャン: 固定位置ごとに取得
観点: 得意な場面 / LiDAR SLAM型: 広い屋内、通路、設備周辺、短時間調査 / 三脚型スキャン: 高精度な固定計測、詳細形状確認
観点: 注意点 / LiDAR SLAM型: 軌跡推定、歩行ルート、ループ閉じ / 三脚型スキャン: 設置点、ターゲット、合成作業
観点: 成果物 / LiDAR SLAM型: 移動軌跡付き点群、現場の広域記録 / 三脚型スキャン: 高密度点群、位置合わせ済みデータ
どちらが常に優れているわけではありません。LiDAR SLAMは短時間で全体像を把握したい現場に向きますが、形状の細部や厳密な寸法確認が重要な場合は、三脚型や他の計測方法と組み合わせることがあります。目的が現況把握なのか、詳細設計なのか、BIM/CIM連携なのかによって選定が変わります。
活用される現場
建設DXでは、既存建物の現況把握、改修前調査、施工進捗の記録、BIM/CIMとの比較に点群が使われます。LiDAR SLAM型のスキャナーは、現場を歩きながら広い範囲を記録できるため、初期調査や関係者共有用の3Dデータ作成に適しています。
工場やプラントでは、配管、設備、通路、機械周辺の位置関係を短時間で記録したい場面があります。改造工事や設備更新では、図面と現場が一致しないこともあるため、現況点群を持つことで干渉確認や計画検討がしやすくなります。
ロボット開発でも、LiDAR SLAMは重要です。移動ロボットが屋内を走る場合、周囲の壁や構造物を使って自己位置を推定します。計測用途のSLAMとロボットナビゲーションのSLAMでは目的が異なりますが、点群、軌跡、地図、環境特徴という考え方は共通しています。
選定時の注意点
LiDAR SLAM機器を選ぶときは、製品名だけでなく、計測したい環境と成果物を先に定義することが重要です。細長い通路、似た形状が続く倉庫、ガラス面が多い場所、動く人や車両が多い場所、屋外と屋内をまたぐ現場では、SLAMの安定性や点群の見え方が変わります。
確認したい項目は次の通りです。
計測対象が屋内、屋外、地下、工場、建設現場のどれに近いか
必要な成果物が現況把握、寸法確認、BIM/CIM参照、報告資料のどれか
歩行ルートでループを閉じられるか
特徴が少ない長い通路や広い空間があるか
点群の後処理、座標合わせ、データ出力形式を扱えるか
現場の安全導線、バッテリー、データ容量、バックアップを準備できるか
PoCでは、代表的な区画を選び、短いルートと長いルートの両方を試すと判断しやすくなります。点群の見た目だけでなく、壁の重なり、床の傾き、閉じたループのズレ、後処理時間、データ共有方法まで確認すると、実運用に近い評価になります。
関連機器
Sensbaseでは、研究開発・PoC・実証実験向けに3Dスキャン、LiDAR SLAM、建設DX関連機器のレンタルをご案内しています。短期評価では、実際の現場を使って点群の品質、作業時間、後処理、社内共有のしやすさを確認できます。
よくある質問
LiDAR SLAMは屋外でも使えますか?
機器や環境によります。屋外ではGNSS、日照、反射、特徴量、移動距離などの影響を受けるため、屋内と同じ感覚で使えるとは限りません。実際の現場条件で評価することが重要です。
SLAM点群はそのまま設計図として使えますか?
目的と要求精度によります。現況把握や検討資料には有効ですが、設計・施工・検査で使う場合は、座標合わせ、精度確認、点群処理、必要に応じた別手法との照合が必要です。
レンタル評価では何を持ち帰るべきですか?
代表ルートの点群、歩行ルート、処理条件、ズレが出た場所、処理時間、出力形式、共有時の課題を記録するとよいです。実運用に入れる前に、現場ごとの制約を確認できます。
まとめ
LiDAR SLAMは、LiDARで周囲を測りながら自己位置推定と地図作成を同時に行う技術です。建設DX、工場・プラント調査、既存建物の3D記録、ロボット開発では、短時間で現場全体を把握する手段として有効です。ただし、結果は環境の形状特徴、歩行ルート、後処理、成果物の要求によって変わるため、実データで評価することが重要です。
Sensbaseでは、研究開発・PoC・実証実験向けにLiDAR SLAM関連機器の短期レンタルをご案内しています。購入前評価、現場計測、建設DX、点群ワークフローの検証をご検討の場合は、お気軽にお問い合わせください。
コメント